■コメント
吉備津神社の本殿の四隅に祀ってある御崎神社のうち、艮御崎神社の分社。
中山(チュウザン)中学校の裏にある、小丸山と言われる小さな丘の上に鎮座している。
御崎神社は、全国、特に岡山県下に多くの分社を持ち、吉備津神社の遙拝所の意味合いを持っているようだ。
吉備津神社の艮御崎神社は、本殿の東北角にある。この方角は鬼門と呼ばれており、艮御崎神社は鬼神・温羅を祀っている。そのため温羅は別名・艮御崎神(ウシトラミサキシン)とも呼ばれている。
そして、この辛川市場の艮御崎神社がある地は小丸山と呼ばれ、太古の昔に桃太郎のモデルとされる吉備津彦命が温羅を征伐した後、温羅の胴体と埋めた地であるとの伝承が残っている。(ちなみに首は、岡山市首部の白山神社に埋めた後、吉備津神社の御釜殿に葬ったとされる。)
ここに温羅を祀る艮御崎神社の分社が建てられたのも、温羅の遺体がが葬られた地で、温羅の魂を沈める意味があるのかもしれない。
ちなみに辛川市場(および首部地区も)は、吉備津神社から東北、つまり艮の方角にあるが、それは偶然であろうか。
ここ以外に県内に艮御崎神社は、真備町川辺と倉敷市大内にあるのを確認している。
境内は、かなり広い。社頭から入ると正面に石垣と石段があるが、ほかに何もなく、だだっ広い。
石段を登り進むと随神門があり、その向こうに社殿がある。しかし社殿や門以外にはほとんど何もなく殺風景な雰囲気。
"温羅を祀っている"という謂われがある割には、簡素であるので拍子抜けしたが、よく考えるとこの簡素さが逆に不気味さを演出している。
鎮座地の小丸山はかつては前方後円墳であったといわれ、中世には城砦が、幕末には池田茂政が長州征伐の際に土塁を築いた。
[ 案内板 ]
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